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[2007.01.16]

「がんと心」学ぶ講座、今春開設 告知やケア、人材育成


 がんと心の関係を考える「精神腫瘍(しゅよう)学」を学ぶ講座が今春、全国で初めて、埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)と名古屋市立大大学院(名古屋市)に誕生する。がんが患者や家族の心に与える影響や、心の持ち方と生存期間との関係などを研究する。また告知の仕方や、がんとわかってうつ状態になった患者や家族への対応などを学び、臨床現場にいかしていく。

 精神腫瘍学は「サイコオンコロジー」の和訳で、サイコロジー(心理学)とオンコロジー(腫瘍学)などからなる造語。日本サイコオンコロジー学会によると、「精神腫瘍医」として専門治療を行っている医師は、国内で数十人程度しかしないという。

 埼玉医科大では大西秀樹教授(精神腫瘍科)らが担当し、医学生を対象に、精神腫瘍学の基礎や、がん患者のうつ病や意識障害の出方、痛みの治療の重要性などを教える。

 名古屋市立大大学院は連携大学院の形で、国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部の内富庸介部長が客員教授を務める。医師を対象に、基本的に4年間、名市大と国立がんセンターで、新しいケア法の開発などを研究する。

 がんになった場合、2〜4割がうつ状態になると報告されており、その場合、治療に積極的になれないなどの影響が出る。02年から診療報酬で、精神科医らがいる緩和ケアチームに加算が認められるようになった。日本サイコオンコロジー学会も昨年から、精神科医を対象に講習会を開催しているが、人材育成が追いつかないのが現状だ。

 同学会の代表世話人を務める内富さんは「患者は、抗がん剤の副作用より心の痛みの方が強いと訴える。最後までその人らしく生きるため、心のケアを提供する人材を増やすことが急務だ」と話している。

朝日新聞 2007年1月15日

 
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