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[2006.12. 18]

がん難民、推計68万人 納得できる治療求め


 納得できる治療を求めて悩んでいる「がん難民」はがん患者の53%で、全国で推計約68万人に上ることがこのほど、民間研究機関の日本医療政策機構(代表理事・黒川清前日本学術会議会長)の分析で分かった。

 がん難民は平均3ヵ所の医療機関を受診し、医療費は、それ以外のがん患者の1.7倍。がん難民に着目した調査は珍しく、同機構は「がん難民解消の政策に生かしてほしい」としている。

 調査は2005年1月―6月、約30の患者会やインターネットを通じて実施。がん患者1186人の回答を分析した。

 明確な定義がないがん難民について「医師の治療説明に不満足、または納得できる治療方針を選択できなかった患者」と規定。いずれかに該当する人は625人、全体の53%に上った。治療方針に納得していない患者に限ると27%。02年の厚生労働省の調査で日本のがん患者は約128万人いることから、約68万人ががん難民と推計した。

 受診した医療機関数は、最も多かった患者で19ヵ所。がん難民の平均は3.02ヶ所、それ以外のがん患者は1.95ヶ所だった。

 がん難民の91%は「日本のがん医療の水準に不満」と回答。必要な情報として「専門医の有無」「医師・病院ごとの治療成績」などを求める割合が高かった。

 これまでにかかった保険診療費はがん難民が平均141万円、それ以外は96万円。自由診療分や健康食品代などを加えた総医療費は、それぞれ305万円と176万円だった。

 同機構は、がん難民を100パーセント解消すれば年間約5200億円の医療費が削減できると推計している。

1ヶ所の病院で最適な治療を
 「癌と共に生きる会」(東京)の石橋健太郎会長の話
 がん患者の多くは「もっといい治療を」と病院を巡り歩いたり、半信半疑の治療法を試したりして高額の費用がかかっている。がん難民をなくすためには、拠点病院の整備や専門医の養成を進めて、1ヶ所の病院で満足できる最適な治療が受けられるようにすることが必要だ。今回の調査では、がん難民をなくせば医療費が約5200億円も削減できることが分かった。これを新たながん対策の財源に回せれば大変心強い。

がん難民
 複数の医療機関を渡り歩いたり「治療は尽きた」と言われても、なお最新の治療法を探し求めたりするがん患者を指して使われることが多いが、定義は定まっていない。背景には地域や医療機関によって医療水準に格差があるとの指摘もある。今年6月には、がん対策基本法が成立。厚生労働省は、予防や早期発見と合わせて全国的な治療水準の向上を目標に掲げ、専門医の育成や相談体制の整備、全国250の「がん診療連携拠点病院」の設置を進めている。

奈良新聞 2006年12月16日

 
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